01.15 2016

ISSUE. Jan Vol.02 – Glass to Glass, Continued

“作品のアイデンティティーである廃材”
再生ガラスに魅了されて

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作品に廃材を使用していることは、五十嵐さんの製作スタイルにおいて欠かすことのできない大事な要素になっている。再生ガラスを使うのは心持ちの上でも大切なことで、吹きの作業が気持ち良くできるのはこの廃材のおかげなのだ。彼が生み出す作品は、周りの空間に溶け込むようにシンプルなデザインになっているので、一見すると廃材を使用しているとは気づかない。

作品の表情には現れないものの、初めて見る人にもわかるように「廃材を使用している」と記しているのは、作品のアイデンティティーである再生ガラスの用途を多くの人に知ってもらいたいと思っているからだ。
再生ガラスを使用した作品があるとの噂を聞きつけ工房に訪れる人がいたり、再生ガラスの魅力に引き込まれた仲間も次第に増えている。

一見するとあまり違いはわからないのだが、出来上がる作品はほんのり緑がかっていて、それがまた良い味を出している。

蛍光管のガラスは一般的な吹きガラスの材料を使う場合より、釜から出して成形をしている間に冷めてしまうスピードが速いそう。その分何度も釜に戻し溶かしなおすという手間がかかるが、「ものに時間をかけることで、自分の作品に成り得るような気がする。」と信念は固い。とにかく時間をかけて、それが苦にならなくなれば絶対に良い作品を生み出すことができる。

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蛍光管を使い続ける理由は「単純に、廃材に魅了されているから」。
一度廃材の魅力に気づくと、普通の素材だと作りやすすぎてしまって逆につまらないそう。人と同じことをしていたら職人の世界ではやっていけないから、他が挑戦していないことにチャレンジしていくのが彼のスタイルだ。

「自分のスタイルを作り上げるまでには時間がかかったけど、作品と共に構築してきてだいぶ固まってきました。これからも廃材を使用したスタイルで突っ走って行きたいです。」あと20年後にはどうなっているかな、吹く息が持たなかもしれない、と冗談を飛ばす五十嵐さんの笑顔は、見る人をガラスのように透き通った気持ちにさせてくれる。

時間をかけて作る廃材ガラスの魅力がある。

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同じ素材で形を変え再定義することができるのはガラスならではの魅力。
LEDの普及で今後見かけることが少なくなるかもしれない蛍光管だが、ガラス作品という新たな形で生活に取り入れてみるのもいいかもれない。
身の回りに溢れる日用品の使われなくなったその後を考えること。
新たな命を吹き込むことについて、
少し心を澄まして考えてみたくなった。

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Photography:Yuka Yanazume / Text : Azu Satoh

五十嵐智一 プロフィール

iGLASS STUDIO


金沢生まれ。
1995年 多摩美術大学 デザイン科 立体デザイン専攻クラフト専修ガラスコース卒業。
95年から98年まで東洋ガラス株式会社にてクリエイティブパッケージデザインを担当。
退職後、金沢卯辰山工芸工房・ガラス工房へ入る。
2002年から2006年まで多摩美術大学 工芸学科 ガラスプログラム 助手を務めたのち独立。
自身の工房「iGLASS STUDIO」にて製作活動を行っている。


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Mail. iglass@jupiter.ocn.ne.jp


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