01.11 2016

ISSUE. Jan Vol.01 – Glass to Glass

“Glass to Glass”
ガラスが生まれ変わる奇跡

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使えなくなったものの行く末はどこだろう。

何年も使い込まれた後に人から人へと受け継がれていくものもある。
しかし、生活雑貨などの消耗品はそうもいかない。

ガラスからガラスへ。

使えなくなりゴミになるはずだったものが、形を変えてもう一度価値のあるものへと生まれ変わる。まるで魔法のような製作活動を行うガラス職人のもとを訪ねた。ガラス作家である五十嵐智一さんが主に使用するのは蛍光灯に使われるガラスの廃材。廃材からできたとは到底とは思えない美しい作品に、思わず見とれてしまう。大学卒業後に就職したガラス製造会社に勤めていた時から、リサイクルに興味があったという。退職後に移ったガラス工房がある金沢で、その魅力的な素材と出会うことになる。

私たちが普段よく目にする蛍光灯のガラスは微量の水銀を含んでいるためリサイクルすることができず、産業廃棄物になってしまう運命だったが、五十嵐さんはそこに目をつけた。金沢で蛍光管の回収などを行っている会社と協力し、蛍光管を砕いたガラスを溶かしてもう一度形にする、という廃材ガラスの新たな活路が生まれる。

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試行錯誤を繰り返しながら溶かす温度帯の探求など、製作工程を確立。
蛍光管の廃材ガラスを再利用した作品作りという今のスタイルができあがった。この日はワイングラスの製作過程を見せていただいた。通常ワイングラスはカップ、ステム、フットの3パーツを別々に作ってから結合するのだが、五十嵐さんは一筆書きのように、一つの玉からワイングラスを生み出す。黙々と作業しながらも次第にグラスが形作られていく過程は、まさに魔法のようだった。
ガラスを循環させるハブになる。

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一つの素材をゴミから作品へ生まれ変わらせ、ガラスを再定義することの魅力について伺った。「自己満かもしれないけど、ガラスを扱う作家として、ガラスを循環させている一つのハブになっているという自負がある。それが気持ちいいんです。」例えば自分の工房で生まれた失敗作のガラスや破片を別の作品の中で使用して、素材を無駄遣いせず回転させていくこともできる。作品になり値がつくか、失敗作としてゴミになるかは紙一重。
そういった中での製作活動には緊張感も生まれる。

焼き物と違って一度完成させてしまっても、
再び釜に入れてやり直せるのがガラスの魅力だと語る。

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Photography:Yuka Yanazume / Text : Azu Satoh

五十嵐智一 プロフィール

iGLASS STUDIO


金沢生まれ。
1995年 多摩美術大学 デザイン科 立体デザイン専攻クラフト専修ガラスコース卒業。
95年から98年まで東洋ガラス株式会社にてクリエイティブパッケージデザインを担当。
退職後、金沢卯辰山工芸工房・ガラス工房へ入る。
2002年から2006年まで多摩美術大学 工芸学科 ガラスプログラム 助手を務めたのち独立。
自身の工房「iGLASS STUDIO」にて製作活動を行っている。


Address. 〒286-0807 千葉県成田市北羽鳥2692-2
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Mail. iglass@jupiter.ocn.ne.jp


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